DTP普及期の印刷業界
DTPとは、デスクトップ・パブリッシングの頭文字をとった略称です。
パソコンの画面で見たままレイアウトをし、印刷するという技術ですが、今となっては当たり前の技術です。
しかし、このDTPが普及する以前は、パソコンは文字情報やコマンドなどを打って行かないと、動かない代物でした。
それを劇的に変えたのが、アルダス社(現在は、アドビに吸収合併されています)のページメーカーという、レイアウトソフトでした。
1986年のことです。
わずか27年前のことですが、この技術が、印刷業界に大変革をもたらしました。
その主役は、スティーブ・ジョブズ率いるアップル社です。
アップルが作ったパソコン、Macintoshは、世界ではじめてWYSIWYGを実現したパソコンでした。
WYSIWYGとは、コマンドではなく、アイコンというものやマウスを使い、画面で見たままのレイアウトを可能にするということです。
印刷会社は、徐々にDTPを導入し、自社の工程や生産ラインを効率化させていきました。
今まで、文字の修正があった場合は、写植で文字を打ち直し、それを印画紙に出力し、版下に貼り付けないと、修正できなかったのが、
パソコンで文字を打ち替えるだけで簡単に文字修正ができるようになりました。
写真の位置を動かしたりするのも、DTP以前では、版下からやり直しをする必要があったのが、マウスで簡単に動かせるようになりました。
これにより、印刷工程が劇的に効率化されたのです。
DTPによって、マッキントッシュと、ポストスクリプトという技術を創りだしたアドビ社の技術により、今まであった写植や版下、製版という
工程が一本化されたのです。
DTP初期の頃は、ポストスクリプトエラーなどで、マッキントッシュからイメージセッター(フィルムを出力するプリンタのようなもの)に出力する時に、
文字が化けたり、出力されなかったりと、様々な問題点がありました。
しかし、その問題点を解決できることが、DTPのノウハウにつながり、安定したフィルムを出力できることが、製版会社の強みになっていったのです。
当時のDTP業界では、「DTP三種の神器」と呼ばれるソフトが有りました。
Quark社のQuarkExpress、アドビ社のIllustrator、Photoshopがそうです。
これらのソフトにより、特別な職人技がなくても、印刷レイアウトが作れるようになったのです。