DTPの問題点
印刷業界に変革をもたらしたDTPですが、それによって、業界構造をがらりと変えてしまいました。
DTPでは、組版(写植)と、版下作成と、製版(写真製版)が、すべて1つの工程、1つのパソコン(Macintosh)で出来るようになりました。
普及期は、製版工程は、フィルムを安定的に出力したり、写真をスキャニングしてレタッチしたりと、製版会社は重宝されていました。
しかし、ソフトの機能が向上し、スキルが低くても綺麗にレタッチ出来るようになってき、また、印刷会社が内製化の動きで、イメージセッターを導入し始めると、製版会社の存在価値が低くなってきたのです。
DTPは、従来複雑に工程ごとにあった仕事を、1つの工程できるようになり、効率化をはかれたのですが、同時にそれらの工程で存在していた会社を潰してしまったです。
昔は、写植屋さん、版下屋さん、製版屋さん、とあったのですが、今はもう、その姿を見ることはありません。
また、パソコンで簡単にレイアウトできることが顧客にわかってくると、デザイン単価・制作単価が急激に下がって来ました。
今までは、工程ごとの職人技が必要で、費用も時間もかかっていたのが、パソコンで簡単に出来ることが分かったので、一気にデザイン料金が下がったのです。
それに反比例して、デザイナーの仕事の領域は今までよりも増えました。組版、版下、製版の知識と技術が必要になったのです。
DTPは、印刷会社社内での効率化を実現するものでしたが、各工程でのブラックボックスと、工程ごとの利益がなくなり、まさに自らの首を締めてしまうという、諸刃の剣だったのです。